親の介護で仕事を休むとき、家族がもらえるお金は?介護休業給付金をやさしく解説

ある日、離れて暮らす親が突然入院した——。「しばらく付き添いが必要」と言われて、まず頭に浮かぶのは親の体のことですが、そのすぐ後に、こんな不安がよぎる方は少なくありません。
「仕事、どうしよう」「休んだら収入はどうなるんだろう」。介護のために仕事を長く休めば、その分の給料は止まってしまうのが普通です。だからといって辞めるわけにもいかない。そんな板ばさみの中で、思いつめて離職を考えてしまう方もいます。
でも、その前にぜひ知っておいてほしい制度があります。家族の介護で仕事を休むとき、条件を満たせば雇用保険から「介護休業給付金」というお金を受け取れるのです。この記事では、いくらもらえるのか、誰が対象なのか、どう申請するのかを、はじめての方にもわかるようにやさしく整理します。
「仕事を休むと収入が…」介護離職の前に
親の介護は、ある日いきなり始まることがよくあります。入院、退院後の在宅準備、施設探し——まとまった時間が必要な場面ほど、仕事との両立が難しくなります。
ここで慌てて退職してしまうと、介護が一段落した後の再就職が難しかったり、収入が大きく減ってしまったりと、後々の生活に響くことがあります。介護は数か月から数年と長く続くこともあるからこそ、「辞める」以外の選択肢を先に知っておくことが大切です。
こんな不安、ありませんか?
- まとまった期間、親に付き添いたいが給料が止まるのが怖い
- 介護と仕事、どちらも中途半端になりそうで不安
- 辞めるしかないのかと思いつめている
こうした不安の受け皿として用意されているのが、次に紹介する介護休業給付金です。
家族がもらえる「介護休業給付金」とは
介護休業給付金は、家族の介護のために「介護休業」を取得した働く人に対して、雇用保険から支払われるお金です。育児・介護休業法にもとづく制度で、介護を理由に仕事を辞めずに済むよう支えることを目的としています。会社から出るお金ではなく、雇用保険からの給付である点がポイントです。
いくらもらえる?
支給額は、休業に入る前の賃金(休業開始時の賃金日額)をもとに計算され、そのおよそ67%が支給されます。ざっくり言えば、休んでいる間の給料のうち約3分の2をカバーしてくれるイメージです。
上限額は1か月(支給単位)あたり約35万6,574円(令和7年8月時点)で、この金額は毎年8月に見直されます。また、この給付金には所得税・住民税がかからない(非課税)ため、額面がほぼそのまま手元に残るのも安心できる点です。
どれくらいの期間もらえる?
介護する家族1人につき、通算93日まで受け取れます。しかもこの93日は、最大3回まで分けて使えます。たとえば「入院直後にまず数日」「退院準備でまとまった期間」「在宅介護の立ち上げでもう一度」というように、必要な場面に合わせて分割できるのが便利なところです。
誰が対象になる?
雇用保険に加入している労働者で、要介護状態(2週間以上にわたって常時介護が必要な状態)の家族を介護するために休業する場合が対象です。パートやアルバイトなど有期契約で働く方も、一定の要件を満たせば対象になります。
対象になる「家族」の範囲
次の家族の介護が対象です。以前は同居・扶養が条件でしたが、今は別居していても対象になります。
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母・子、配偶者の父母
- 祖父母・兄弟姉妹・孫
「介護休業」と「介護休暇」は別物です
名前が似ているため混同されがちですが、「介護休業」と「介護休暇」はまったく別の制度です。ここを取り違えると、「休んだのに給付金がもらえなかった」ということにもなりかねません。
2つの違い
- 介護休業:まとまった期間(通算93日)休む制度。給付金あり。入院の付き添いや在宅介護の立ち上げなど、長めの休みに。
- 介護休暇:1年に5日(対象家族が2人以上なら10日)まで、1日または時間単位で休める制度。原則無給で給付金はなし。通院の付き添いやケアマネとの打ち合わせなど、短時間・急な用事に。
⚠ ここが大切
給付金がもらえるのは「介護休業」のほう。まとまった期間休む必要があるときは、介護休暇ではなく介護休業を使えないか、会社に確認してみましょう。
申請の流れと、覚えておきたいこと
申請は、原則として勤務先(会社)を通じてハローワークに行うのが一般的です。まずは会社の人事・総務の窓口に「介護休業を取りたい」と相談するのが第一歩になります。介護休業は原則2週間前までに申し出るルールですが、急な入院などやむを得ない事情があるときは、直前の申し出でも取得できる場合があります。
給付金の申請には期限があります。介護休業が終わった日の翌日から2か月後の月末までが目安です。手続きの多くは会社が代行してくれますが、必要な書類や自分でそろえるものがないか、早めに確認しておくと安心です。
⚠ まずやること
「辞めるしかない」と一人で決める前に、会社の窓口に相談を。制度は知って、申し出て、はじめて使えます。何から手をつけるか迷うときは、地域包括支援センターやハローワークに相談するのもおすすめです。
この記事のまとめ
- 家族の介護で仕事を休むと、雇用保険から「介護休業給付金」を受け取れる。
- 金額は休業前の賃金のおよそ67%、非課税。
- 家族1人につき通算93日まで、最大3回に分けて使える。
- 「介護休暇(年5日・無給)」とは別物。給付金があるのは介護休業のほう。
- 申請は原則、会社を通じてハローワークへ。まずは会社に相談を。
📋 参考・参照情報
- 【厚生労働省】 介護休業給付の内容及び支給申請手続について(支給要件・通算93日・3回分割・対象家族・要介護状態の定義)
- 【厚生労働省】 高年齢雇用継続給付金・介護休業給付金等の支給限度額(令和7年8月1日から)=上限額356,574円・毎年8月改定
- 【厚生労働省】 育児・介護休業法改正について(対象家族の拡大・同居扶養要件の削除・有期契約労働者の要件)
- 【厚生労働省(ハローワーク)】 介護休業給付金のご案内(被保険者要件・支給の考え方)
※掲載情報は執筆時点のものです。制度・数値は改定される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。給付金の非課税は雇用保険法にもとづく取り扱いです。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。給付率や上限額などの制度内容は今後変わる可能性があります。給付金の上限額は毎年8月に見直されます。具体的な支給額・要件・手続きやご家庭の状況については、お勤め先の担当窓口、最寄りのハローワーク、お住まいの自治体などにご確認ください。