「介護離職を、どうしても防止したい」——2026年春、政府のこの発言がニュースになりました。親の介護と自分の仕事。まだ先のことだと思っていても、そのひとことに、ふと胸がざわついた方もいるのではないでしょうか。
このニュースの中心にあるのが、「家事支援サービスの新しい国家資格」という聞き慣れない言葉です。これは一体何なのか、私たちの介護にどう関係するのか。そして「新しい制度を待たなくても、今すぐ使える介護離職の防止策」まで、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
2026年4月22日の政府の会議(日本成長戦略会議)で、掃除・洗濯・調理といった家事支援サービスの担い手に、新しい国家資格をつくる方針が示されました。この場で高市首相は「育児や介護など家事の負担による離職を、どうしても防止したい」と述べています。
ただし、現時点ではあくまで「これから制度をつくっていく」という方針・検討の段階です。政府は2027年秋ごろに第1回の試験を行うことを目指していますが、内容の詳細はまだこれから詰められます。
この資格が対象にするのは、介護保険の「外側」にある自費の家事支援です。介護保険で受けられるヘルパーの生活援助とは別で、保険を使えない・使い切ってしまった場合に自費でお願いする家事のサポートを想定しています。国が資格をつくって質を保証することで、「知らない人を家に上げるのは不安」という抵抗感をやわらげ、安心して頼めるようにする狙いです。合格した人は「技能士」を名乗れる仕組みが検討されています。
試験の実施は早くても2027年秋ごろが目標で、サービスとして広く使えるようになるのはまだ先です。つまり、「今まさに親の介護が始まった」という方の、すぐの助けにはならないのが正直なところ。だからこそ大切なのが、ニュースの制度を待たなくても、すでに使える介護離職防止の制度を知っておくことです。
⚠ ここが大切
「新しい制度ができるまで待とう」ではなく、「今ある制度を今すぐ使う」。介護は突然始まります。次の章の制度は、いずれもすでに使えるものです。
介護や看護を理由に仕事を辞める人は、年間およそ10万人にのぼります(総務省の調査で2022年は約10.6万人)。その多くは40〜50代の働き盛りで、5割以上は今も働きながら介護を続けています。「自分だけが特別に大変」なのではなく、多くの人が直面し、そして両立している課題だと知っておくだけでも、判断が少し落ち着きます。
いきなり退職を決めるのではなく、まずは相談です。頼れる窓口は主に3つあります。
まず相談したい3つの窓口
いいえ、収入を補う制度があります。代表的なのが介護休業と介護休暇です。
まとまって休む・少しだけ休む、2つの制度
はい。2025年4月・10月に育児・介護休業法が改正され、「制度を知ってもらい、使いやすくする」ための見直しが進みました。給付金の割合(67%)や日数(93日)そのものは変わっていませんが、次のような点が強化されています。
2025年改正でここが変わった
⚠ 介護休業の「93日」の使い方
93日は「自分ひとりで介護に専念する期間」ではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間と考えるのが制度の趣旨です。この間にケアマネや事業所を決め、サービスを組み立てておくと、復帰後の生活がぐっとラクになります。
家事支援の新しい国家資格は、これから介護と仕事の両立を支える選択肢のひとつになるかもしれません。ただ、それを待つ必要はありません。今すでに、辞めずに乗り切るための制度と相談先があります。
この記事のまとめ
「もう辞めるしかない」と思い詰める前に、まずはひとつ、相談の電話をかけてみる。それが、仕事も家族との時間も手放さないための、いちばん確実な第一歩です。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。家事支援サービスの国家資格は検討・方針の段階であり、今後内容が変わる可能性があります。介護休業給付金の上限額など制度の詳細も改定されることがあります。具体的な手続きやご家庭の状況については、お住まいの自治体の窓口、勤務先の人事・労務、最寄りのハローワークにご相談ください。
※掲載情報は執筆時点のものです。制度・数値は改定される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。