「親に車いすが必要になったけれど、種類が多くて何をどう選べばいいか分からない」——はじめて車いすを選ぶとき、こう感じるご家族はとても多いです。
車いすは体に合ったものを選ぶことが大切です。合わない車いすに長く座っていると、姿勢が崩れたり、おしりに褥瘡(床ずれ)ができたり、体への負担が大きくなることがあります。
とはいえ、むずかしく考えすぎる必要はありません。この記事では、はじめての方でも迷わないよう、4つのステップで選び方を整理しました。順番に見ていきましょう。
STEP 1|自走式?介助式?まず「誰が動かすか」で選ぶ
車いす選びの最初のポイントは、利用するご本人が自分で動かすのか、家族や介助者が押すのかです。ここで「自走式」と「介助式」に分かれます。
自走式と介助式のちがい
- 自走式:後輪が大きく、タイヤの外側にハンドリム(手で回すリング)が付いています。ご本人が手で漕いで移動できるので、自分のペースで動ける自立支援の面でもメリットがあります。介助者が後ろから押すこともできます。
- 介助式:後輪が小さく、ハンドリムがありません。介助者が後ろから押して動かします。車体がコンパクトで軽量なものが多く、車への積み込みや狭い室内での取り回しがしやすいのが特徴です。
迷ったときの目安として、手や腕の力があり自分で移動する意欲がある方は自走式、自分で漕ぐのがむずかしい方や認知症で安全面の配慮が必要な方は介助式が基本です。ただし、状態は変わるものなので、あとから変更できる介護保険レンタル(STEP 4で解説)を利用するのがおすすめです。
STEP 2|体に合うサイズを確認する
種類が決まったら、次は体に合うサイズかどうかを確認します。ここが車いす選びでいちばん大切なポイントです。主に見るのは次の4つです。
体に合わせる4つのサイズ
- ① 座幅(ざはば):座面の横幅。おしりの幅+左右各2cmくらいが目安。狭すぎると窮屈で、広すぎると体が傾いたり姿勢が崩れたりします。一般的な標準サイズは40cmですが、38cm(幅狭)や42cm(幅広)もあります。
- ② 座奥行き(ざおくゆき):座面の前後の長さ。膝裏から背もたれまでの距離に合わせます。深すぎると背もたれに寄りかかれず、浅すぎると太ももの支えが足りなくなります。
- ③ 前座高(まえざこう):地面から座面前方までの高さ。足がきちんと地面やフットサポートに届くかどうかに関わります。高すぎると足が浮き、低すぎると立ち上がりにくくなります。
- ④ 背もたれの高さ:肩甲骨の下あたりまでが一般的。高すぎると腕の動きを妨げ、低すぎると上体を支えきれません。
とはいえ、ご家族だけで正確にサイズを測るのは大変です。福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談すれば、体に合わせたサイズの提案や、試乗してのフィッティングをしてもらえます。遠慮なく頼りましょう。
💡 クッションも忘れずに
車いすは「移動」のための道具で、椅子のように「長く座る」ことを前提に作られていません。長時間座る場合は、体の状態に合ったクッションを組み合わせることで、おしりへの負担(褥瘡のリスク)や姿勢の崩れを防げます。クッションも介護保険で車いす付属品としてレンタルできます。
STEP 3|どこで使う?場面で絞り込む
車いすを使う場所や場面によって、向いているタイプが変わります。主に使う場面をイメージしてみてください。
場面別の選び方
- 主に自宅の中で使う:小回りが利くコンパクトなタイプや、室内専用の六輪車タイプが向いています。廊下やドアの幅もあらかじめ測っておくと安心です。
- 通院や買い物など外出が中心:段差や傾斜に対応しやすい標準タイプ。車に積み込むなら、折りたたみやすく軽量なものを。
- 長時間座ることが多い:背もたれが倒せるリクライニングタイプや、座面ごと傾くティルトタイプ。姿勢が保ちにくい方にも向いています。
- 長距離の移動・坂道が多い:ご本人が操作する電動車いすや、介助者の負担を減らす電動アシスト付き介助車いすも選択肢になります。
使う場面がひとつとは限りません。「自宅では室内用、外出は外出用」と使い分けるケースもあるので、福祉用具専門相談員と一緒に生活全体を見渡して選ぶのがおすすめです。
STEP 4|介護保険レンタルを活用しよう
車いすは、購入すると数万〜十数万円しますが、介護保険の福祉用具貸与(レンタル)を利用すれば、自己負担1〜3割で借りることができます。一般的な車いすなら月額数百円程度(1割負担の場合)で利用でき、クッションなどの付属品も対象です。
レンタルのメリット
- 費用が抑えられる:購入に比べ、初期費用・月々の負担が大幅に少なくて済みます。
- 体の状態が変わっても交換できる:状態の変化に応じて、別のタイプや別のサイズに交換してもらえます。
- メンテナンスをお任せできる:定期的な点検や修理はレンタル事業者が行ってくれます。
- 専門家に相談できる:福祉用具専門相談員がフィッティングや使い方のアドバイスをしてくれます。
車いすのレンタルは、原則として要介護2以上の方が対象です。ただし、要支援や要介護1の方でも、医師の医学的所見とサービス担当者会議等を通じたケアマネジメントの判断に基づき、市町村が必要性を確認した場合には、例外的にレンタルが認められることがあります(例外給付)。まずは担当のケアマネジャーに相談してみてください。
迷ったら誰に相談すればいい?
「結局どれがいいか分からない」と迷ったときは、次の方々に相談するのがいちばんの近道です。
頼れる相談先
- ケアマネジャー:介護保険サービスの窓口。レンタルの手配もケアマネを通じて行います。
- 福祉用具専門相談員:車いすのフィッティングや機種選びの専門家。レンタル事業者に在籍しています。
- 理学療法士・作業療法士:身体機能や姿勢の評価に基づいた車いす選びのアドバイスが受けられます。通院先やリハビリ施設にいることが多いです。
- 地域包括支援センター:まだ要介護認定を受けていない段階でも、介護の相談ができる身近な窓口です。
車いすは一度選んだら終わりではなく、体の状態や生活に合わせて見直していくものです。「最初から完璧な一台を選ばなきゃ」と気負わず、専門家と一緒に、ご本人に合った車いすを見つけていきましょう。
この記事のまとめ
- STEP 1:自分で漕ぐなら自走式、介助者が押すなら介助式。まず「誰が動かすか」で選ぶ。
- STEP 2:座幅・座奥行き・前座高・背もたれの高さを体に合わせる。ここがいちばん大事。
- STEP 3:主に使う場所(室内・外出・長時間・坂道)でタイプを絞り込む。
- STEP 4:介護保険レンタルなら月額数百円〜。交換もメンテナンスもお任せ。迷ったらケアマネ・福祉用具専門相談員へ。
※本記事は2026年6月時点の一般的な情報をもとに作成しています。介護保険の利用条件やレンタル料金は、要介護度・所得・利用する事業者によって異なります。具体的な手続きやご家庭の状況については、担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険窓口にご確認ください。
📋 参考・参照情報
※掲載情報は執筆時点のものです。介護保険の利用条件やレンタル料金は、要介護度・所得・利用する事業者によって異なります。具体的な手続きやご家庭の状況については、担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険窓口にご確認ください。