実はこれ、気のせいではありません。年金は4年連続で増えているのに、多くの人が「暮らしは楽になっていない」と感じています。その正体が、年金の実質的な目減りです。この記事では、なぜ実質で目減りするのかを専門用語をかみくだいてやさしく解説し、これから先の年金の見通しと、私たちにできる備えまで一緒に整理します。
まず事実として、年金の金額そのもの(名目額)は増えています。2026年度は国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金が2.0%の引き上げとなり、これで4年連続のプラス改定です。
2026年度の年金額(月額の目安)
数字だけ見れば、たしかに増えています。「増えているのに、なぜ?」――ここからが本題です。
答えは、「増え方」が物価の上がり方に追いついていないからです。冒頭のハガキの正体は、これでした。
2026年度の改定のもとになった物価の上昇率は3.2%。ところが、年金の引き上げ率は1.9%にとどまりました。金額(名目)は増えても、その間に物やサービスの値段はもっと上がっているので、同じ年金で買えるものは、むしろ減っている――これが「実質の目減り」です。
⚠ ここが大切:名目と実質のちがい
「名目」は通帳に振り込まれる金額そのもの。「実質」は、その金額で実際にどれだけ買えるか(購買力)です。名目が増えても、物価がそれ以上に上がれば、実質は目減りします。「増えたのに苦しい」の正体は、この差にあります。
では、なぜ物価ほど年金が上がらないのでしょう。そこには「マクロ経済スライド」という仕組みがあります。
これは、少子高齢化のなかでも年金制度を将来まで持たせるために、年金の伸びを物価・賃金の伸びより少しだけ抑える調整のことです。2026年度は、この調整(基礎年金で0.2%分)が効いた結果、本来の2.1%から差し引かれて1.9%の改定になりました。
言いかえると、これは「今の受給者の伸びを少し我慢して、将来世代の年金を守る」ための仕組みです。だから物価が上がる局面では、名目は増えても実質は目減りしやすい、というわけです。
国は5年ごとに「財政検証」という年金の健康診断を行っています。直近(2024年)の結果から、将来の見通しをやさしく言うと、次のようになります。
将来の年金、3つのポイント
これらはあくまで一定の前提を置いた「試算」で、経済や働き方しだいで変わります。とはいえ、「名目は増えても、実質の手厚さはゆるやかに下がっていく」という大きな方向は、頭に入れておきたいところです。
実質の目減りに備える3つの工夫
大切なのは、「増えた・減った」の一言に一喜一憂しないこと。名目ではなく実質で考える視点を持てば、ニュースの見え方が変わり、自分の備えも落ち着いて選べるようになります。
この記事のまとめ
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。年金額は毎年改定され、将来の見通しは経済前提により変わります。ご自身の受給見込み額や最適な備え方は、「ねんきんネット」や年金事務所、専門家(ファイナンシャルプランナー等)にご確認ください。
※掲載情報は執筆時点のものです。年金額は毎年改定され、将来見通しは経済前提により変わります。最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。