デイサービスは、本人にとっては心身の刺激や交流の場になり、介護する家族にとっては大切な休息の時間にもなります。それでも、本人が「嫌だ」と拒むと、無理に勧めるわけにもいかず、途方に暮れてしまいますよね。
でも、大丈夫です。嫌がるのには必ず理由があり、そこに寄り添えば、無理なく通ってもらえる道が見えてきます。この記事では、Dさん親子の歩みとともに、声かけと工夫のコツをお伝えします。
Dさんの父は、足腰が弱り、家にこもりがちになっていました。このままでは体も気力も落ちてしまう——そう心配したDさんは、デイサービスを勧めました。けれど父の返事は、頑なな拒否。
「俺はまだそんな年じゃない」「知らない人ばかりで気疲れする」。何度誘っても首を縦に振らず、Dさんは「どう言えば伝わるんだろう」と悩み続けました。
よくある「嫌がる理由」
どれも、わがままではなく自然な気持ちです。「説得」ではなく「不安をほどく」という視点に切り替えると、声かけが変わってきます。
「デイサービス」「介護」という言葉に抵抗がある人は少なくありません。「リハビリの教室」「体操の集まり」「送迎付きのサロン」など、本人が受け入れやすい言い方に変えるだけで、印象が和らぎます。
囲碁、カラオケ、園芸、ゆっくり入れるお風呂——施設によって特色は様々です。本人の興味に合う事業所を選ぶと、「行ってみようかな」につながりやすくなります。
いきなり「通う」ではハードルが高いもの。多くの事業所は見学や体験利用ができます。「一度だけ見に行ってみよう」と、小さな一歩から始めると安心です。
家族が言うと反発しても、かかりつけ医やケアマネジャーの一言なら素直に聞けることがあります。「先生も勧めてたよ」は、思いのほか効くものです。
⚠ 無理強いは逆効果
「行きなさい」と押し切ると、拒否がより強くなり、その後の説得がいっそう難しくなります。本人が「自分で決めた」と思える進め方を、焦らず重ねていきましょう。
工夫しても通ってもらえないときは、一人で抱え込まず、担当のケアマネジャーに相談しましょう。本人に合う事業所を一緒に探したり、見学に同行してくれることもあります。
どうしてもデイが合わない場合は、訪問介護や、通い・泊まり・訪問を組み合わせられる小規模多機能型のサービスなど、別の選択肢もあります。「デイに通うこと」だけがゴールではありません。
Dさんは、ケアマネジャーに相談し、父が昔好きだった囲碁ができる事業所を見学から始めました。最初はしぶしぶでしたが、同じ趣味の仲間ができると、父の表情は少しずつ変わっていきました。今では「今日はデイの日だな」と、自分から身支度をするようになったそうです。
そして、父が出かけている間、Dさんもようやくひと息つけるようになりました。大切なのは、急がず、本人の気持ちに寄り添いながら、小さな一歩を重ねること。その先に、お互いが楽になる日があります。
この記事のまとめ
※本記事は2026年6月時点の一般的な情報・考え方をまとめたものです。デイサービス(通所介護)をはじめとする介護サービスの利用には要介護認定などが必要で、見学・体験の可否や内容は事業所によって異なります。具体的な利用方法やご本人に合うサービスについては、担当のケアマネジャーやお住まいの地域包括支援センターにご相談ください。