ある日、離れて暮らす親が突然入院した——。「しばらく付き添いが必要」と言われて、まず頭に浮かぶのは親の体のことですが、そのすぐ後に、こんな不安がよぎる方は少なくありません。
「仕事、どうしよう」「休んだら収入はどうなるんだろう」。介護のために仕事を長く休めば、その分の給料は止まってしまうのが普通です。だからといって辞めるわけにもいかない。そんな板ばさみの中で、思いつめて離職を考えてしまう方もいます。
でも、その前にぜひ知っておいてほしい制度があります。家族の介護で仕事を休むとき、条件を満たせば雇用保険から「介護休業給付金」というお金を受け取れるのです。この記事では、いくらもらえるのか、誰が対象なのか、どう申請するのかを、はじめての方にもわかるようにやさしく整理します。
親の介護は、ある日いきなり始まることがよくあります。入院、退院後の在宅準備、施設探し——まとまった時間が必要な場面ほど、仕事との両立が難しくなります。
ここで慌てて退職してしまうと、介護が一段落した後の再就職が難しかったり、収入が大きく減ってしまったりと、後々の生活に響くことがあります。介護は数か月から数年と長く続くこともあるからこそ、「辞める」以外の選択肢を先に知っておくことが大切です。
こんな不安、ありませんか?
こうした不安の受け皿として用意されているのが、次に紹介する介護休業給付金です。
支給額は、休業に入る前の賃金(休業開始時の賃金日額)をもとに計算され、そのおよそ67%が支給されます。ざっくり言えば、休んでいる間の給料のうち約3分の2をカバーしてくれるイメージです。
上限額は1か月(支給単位)あたり約35万6,574円(令和7年8月時点)で、この金額は毎年8月に見直されます。また、この給付金には所得税・住民税がかからない(非課税)ため、額面がほぼそのまま手元に残るのも安心できる点です。
介護する家族1人につき、通算93日まで受け取れます。しかもこの93日は、最大3回まで分けて使えます。たとえば「入院直後にまず数日」「退院準備でまとまった期間」「在宅介護の立ち上げでもう一度」というように、必要な場面に合わせて分割できるのが便利なところです。
雇用保険に加入している労働者で、要介護状態(2週間以上にわたって常時介護が必要な状態)の家族を介護するために休業する場合が対象です。パートやアルバイトなど有期契約で働く方も、一定の要件を満たせば対象になります。
対象になる「家族」の範囲
次の家族の介護が対象です。以前は同居・扶養が条件でしたが、今は別居していても対象になります。
名前が似ているため混同されがちですが、「介護休業」と「介護休暇」はまったく別の制度です。ここを取り違えると、「休んだのに給付金がもらえなかった」ということにもなりかねません。
2つの違い
⚠ ここが大切
給付金がもらえるのは「介護休業」のほう。まとまった期間休む必要があるときは、介護休暇ではなく介護休業を使えないか、会社に確認してみましょう。
給付金の申請には期限があります。介護休業が終わった日の翌日から2か月後の月末までが目安です。手続きの多くは会社が代行してくれますが、必要な書類や自分でそろえるものがないか、早めに確認しておくと安心です。
⚠ まずやること
「辞めるしかない」と一人で決める前に、会社の窓口に相談を。制度は知って、申し出て、はじめて使えます。何から手をつけるか迷うときは、地域包括支援センターやハローワークに相談するのもおすすめです。
この記事のまとめ
※掲載情報は執筆時点のものです。制度・数値は改定される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。給付金の非課税は雇用保険法にもとづく取り扱いです。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。給付率や上限額などの制度内容は今後変わる可能性があります。給付金の上限額は毎年8月に見直されます。具体的な支給額・要件・手続きやご家庭の状況については、お勤め先の担当窓口、最寄りのハローワーク、お住まいの自治体などにご確認ください。