大切なのは、我慢して耐えることではなく、「言い方を少し変える」こと。同じ場面でも、声かけを工夫するだけで、お互いがぐっと楽になります。この記事では、よくある困りごとごとに、今日から使える具体的な声かけ例を紹介します。
認知症の方には、その人なりの「見えている世界」があります。事実を正そうとするより、その世界に寄り添うことが、安心につながります。
本人にとっては、毎回が「初めての質問」です。覚えていないことを責められると、不安や混乱が強まってしまいます。
❌ こう言うと逆効果:「さっきも言ったでしょ」「何回聞くの」
⭕ こう言い換える:「○○だよ」と、はじめて聞かれたように落ち着いて答える。何度も続くときは、メモや貼り紙にして見える形にしておくと安心してもらえます。
❌ こう言うと逆効果:「盗ってないよ」「自分でなくしたんでしょ」と反論する
⭕ こう言い換える:「それは困ったね、一緒に探そう」と気持ちに寄り添い、一緒に探す。本人が見つけられるよう、さりげなく誘導できると安心につながります。
自宅にいるのに「家に帰りたい」と訴える——これは、不安やそわそわした気持ちのあらわれであることが多いものです。「ここが家でしょ」と論理で返しても、なかなか落ち着きません。
❌ こう言うと逆効果:「ここがあなたの家でしょ」と事実を突きつける
⭕ こう言い換える:「そうだね、その前に少しお茶でも飲もうか」と気持ちを受け止めつつ、別のことへ自然に意識を向ける。安心できると、訴えがやわらぐことがあります。
❌ こう言うと逆効果:「早く入って」「汚いから」と急かす・無理強いする
⭕ こう言い換える:「あったかいお湯、気持ちいいよ」と前向きに誘う。タイミングを変える、声かけ役を変えるなど、ハードルを下げる工夫も有効です。
よかれと思っても、次の対応は不安や混乱を強めてしまいがちです。気づいたときに、少し意識してみてください。
声かけを工夫しても、うまくいかない日は必ずあります。でも、それはあなたの努力が足りないからではありません。完璧を目指さず、できたときに自分をほめてあげてください。
そして、症状への対応に困ったときや、心身がつらいときは、一人で抱え込まないこと。担当のケアマネジャー、かかりつけ医、地域包括支援センターに相談すれば、専門的なアドバイスや支えを得られます。同じ立場の人が集まる「家族会」も、心の支えになります。
この記事のまとめ
※本記事は2026年6月時点の一般的な情報・考え方をまとめたものです。認知症の症状やあらわれ方には個人差があり、適切な対応も人それぞれ異なります。気になる症状や対応の難しさがあるときは、かかりつけ医、担当のケアマネジャー、お住まいの地域包括支援センターなどの専門職にご相談ください。