入院や施設入所のときの手続き、お金の管理、そして自分に万一のことがあったあとのこと。これまでは「家族がいる前提」で回ってきた仕組みが、身寄りのない方にとっては大きな壁になってきました。そんな状況を変えようと、2026年に国の新しい制度が決まりました。
この記事では、2026年に成立した改正社会福祉法による身寄りのない高齢者への支援の新しい制度について、よくある疑問にQ&A形式でやさしくお答えします。ご本人はもちろん、離れて暮らす親御さんが心配なご家族にも役立つ内容です。
まず、これまで何が問題だったのかを整理してみましょう。身寄りのない高齢者が直面しやすい困りごとには、次のようなものがあります。
身寄りがないと起こりやすい3つの困りごと
こうした場面は、決して特別な人だけの話ではありません。内閣府の高齢社会白書によると、65歳以上の一人暮らしは年々増え続けており、その割合は2020年時点で男性15.0%・女性22.1%だったのが、2050年には男性26.1%・女性29.3%まで高まると見込まれています。65歳以上のいる世帯は全世帯の約半数を占め、そのうち単独世帯(一人暮らし)は約3割にのぼります。「身寄りに頼れない」という不安は、これからますます身近なものになっていきます。
これまで主に家族が担ってきた「金銭管理」「入院・入所の手続き」「亡くなったあとの手続き」といった役割を、公的な仕組みとして支えていこうというものです。
改正法全体の施行日は2027年4月1日とされています。ただし、身寄りのない高齢者を支える新しい事業の部分は、法律の公布(2026年6月)から2〜3年以内に政令で定める日から、段階的にスタートする予定です。全国での本格的な運用は、2028〜2029年ごろになると見込まれます。
⚠ ここが大切
この制度は「これから段階的に始まっていく」段階です。実際にどんな窓口で、どこまでの支援を受けられるかは、お住まいの自治体や社会福祉協議会によって進み方が異なります。最新の状況は、地元の窓口で確認するのが確実です。
新しい制度で想定されている支援は、大きく分けて次の3つです。
通帳や大切な書類を預かってもらったり、お金の出し入れの管理を手伝ってもらったりできます。判断能力が少しずつ下がってきても、暮らしのお金まわりを見守ってもらえる仕組みです。
病院に入院するときや、介護施設に入所するときの手続きをサポートしてもらえます。「保証人がいないから」と手続きに困る場面を減らすことがねらいです。
葬儀や納骨、家財の片づけ、役所への届け出といった「自分では頼めない、最期のあとのこと」までを支援の範囲に含めています。ここまで公的に支える枠組みが整うのは、大きな前進です。
はい。経済的に困っている方などには、無料または低額で提供されることが想定されています。「お金がないと支えてもらえない」とならないよう配慮された設計です。
担い手としては、市町村を中心に、社会福祉協議会や社会福祉法人など、さまざまな主体が想定されています。あわせて、民間の事業者が参入することも可能とされています。まずは公的な窓口が土台をつくり、そこに民間のサービスも重なっていくイメージです。
今日から始められる小さな備え
離れて暮らす親御さんが心配なご家族も、まずは親御さんの住む地域の地域包括支援センターの場所を一緒に確認しておくと、いざというときに動きやすくなります。
この記事のまとめ
「身寄りがないから」とひとりで抱え込まなくてよい時代へ、少しずつ仕組みが整い始めています。不安を感じたら、まずは地域の窓口に一歩相談してみてください。
※掲載情報は執筆時点のものです。制度・数値は改定される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。制度は今後変わる可能性があります。施行時期や支援の内容、具体的な手続きやご家庭の状況については、お住まいの自治体の窓口や社会福祉協議会、専門家にご相談ください。